汝なお一つを欠く
・永遠の生命を得るために、「それらの事(律法)はみな小さい時から守っってきました」と言いきった青年に対し、主イエスは「汝なお一つを欠く」と言われた。そして「持っているものをみな売り払い、貧しい人々に施せ。そうすれば、天に宝を持つようになる。そして、わたしに従ってきなさい」と諭された。青年は「この言葉を聞いて、顔を曇らせ、悲しみながら立ち去った」と聖書は記している。(マルコ10:17~22)
・この青年は「求める」ことには熱心であったが「捨てる」ことを恐れた。その結果、あれほどまじめに努力しながら、ついに永遠の命に生かされることができなかったのである。
・ひとりの婦人の証しを読んで、自分の信仰姿勢について深く反省させられた。彼女の境遇は大変気の毒な状態であったが、その表情は輝いており、神とともに歩むその香りは、さながら花のようであったという。彼女が輝いた生涯に入る前に、一つの祈りをささげていた。「神よ、わたしに3つの傷を与えたまえ。悔いくずおれる傷と、あわれみを感じさせる傷、そして神を慕い求めてやまない傷を与えたまえ。」と祈ったという。
・傷 ― だれがいったい神に「傷」を願うだろうか。傷の取り去られることを求め、その傷の癒えることをこそ願う。
・以前、教役者の研修会があり、多くの教役者が熱心な研修の時をもった。そのとき、ある人がわたしの耳もとにきてささやいた。「先生、まるで敗北者の群れみたいですね。」わたしは思わずまわりを見わたした。そこには何かを求めている熱心さはあったが、明るく輝いている顔はなかった。深刻な表情はうかがえたが、神とともに歩む「天的な香り」をかぐことはできな表情はうかがえたが、神とともに歩む「天的な香り」をかぐことはできなかった。もちろん、これは自分をふくめてのことである。
石田政美(横浜JOYバプテスト教会派遣牧師)