主こそ王
「主こそ王。威厳を衣とし、力を衣とし、身に帯びられる。世界は固く据えられ、決して揺らぐことはない」 (詩篇93:1)
・神こそが全宇宙の王であるという真理ほど、この世でないがしろにされている真理はないのではないでしょうか。人間が一番偉い、強いという、人がすべての世の中です。そして、人間のエゴが王になっている世の中は、戦争や犯罪に満ち、汚れ、腐り、壊れた、悲しく惨めな世界ではないでしょうか。
・しかし、自然の力の前に、人間の力などひとたまりもありません。温暖化による自然災害などで知らされています。昔の話ですが、人間の知恵と力の粋を集めた最新客船タイタニック号が氷山の角にぶつかり沈没した時、人々は「自然の力は人間の力をのみ尽くした」と言いました。神はその自然を支配しコントロールされるお方です。
・ところが、日本人のキリスト信仰の弱点は、天地創造を正しく把握しきれていない点にあると思われます。この概念は、創世記の初めよりヨハネ黙示録の締めくくりまで、聖書の一貫した主張なのに、それが欠落している。代りに信仰者の「情緒」が王座を占めている。情緒に偏った信仰は、結局私が主になっているのです。キリスト教信仰は、自己への固執からの解放であろう。「私」のことをギリシャ語でエゴーと表すところから、自己中心主義はエゴイズムと呼ばれる。この93篇は、全く逆に、われを忘れて主に思いを集中した詩篇なのです。
・「主こそ王」であるときに、揺れ動く世の中にあって揺るがない人生を送ることができるのです。
石田政美(横浜JOYバプテスト教会・派遣牧師)