・十戒の本文の一番目は「あなたには、わたしをおいてほかに神があってはならない」（出エジプト20：3）です。キリスト教はこのように自分以外の神を認めないから非常に排他的で冷たいと誤解されているようです。しかし、十戒は排他的で独善がわかります。的な言葉ではなくて、私たちを捕えているさまざまなものからの解放宣言なのです。実は私たちを捕えているものがたくさんあり、それらに縛られて不自由になっていることがわかります。
・この第一戒は、具体的に言えば、私たちを不安にするさまざまな思い煩いからの解放宣言なのです。カール・バルトという人が思い煩うことについて次のように言っています。「一体、思い煩うこととは何のことか？ それは明らかに次のことを意味する。生活上の大きな、または小さな罪や困窮や悩みや苦しみなどを、自分自身で始末しようとして、あれやこれやの方法で苦心することである。」と。安心の根拠というものは、その数が多ければ多いほど不安も強くなります。
・「あなたには、わたしをおいてほかに神があってはならない。」この言葉を、正しく真面目に受け取っていくなら、本当に私たちをすべての不安から解放し、本当の愛を体験させてくれるのです。