・旧約聖書のなかで、最も親しまれ、読まれている書物のひとつはルツ記ではないでしょうか。
・イスラエルの歴史のなかに起こった小さな一家族の出来事は、ある意味で人生の縮図と言えましょう。ききん、移住、死、結婚、出産とさまざまな人生の出来事から織り成されています。また心の動きーー思い煩い、悲しみ、苦しみ、悩み、やさしさ、愛、敬虔さ、気前のよさ、寛大さ、親切、貞節ーーなどを見ることもできます。
・ルツ記はのどかな牧歌的な人生を描き、美しい愛情と、人間関係が織り成す家庭の模様が、浮き彫りにされた、暖かい家庭の物語です。しかし以上のような人間とその行為や出来事がどんなにすばらしくても、そこに焦点を合わせるよりも、神ご自身とその主権性、神の選ばれた民に対する顧みを描いています。
・その顧みとは、神の摂理によって表されています。この物語のなかで神の名が23回(「主」が18回、「神」が4回、「全能者」が1回)ふれられています。これらの文脈を見て行くとき、私たちは、人生のあらゆる出来事の背後に神がいまし、摂理の御手をもって、それらを動かしご自身の救いの計画を進められていることを知ります。人生には、いわゆる偶然はありません。すべてが神ご自身の計画の下にあるのです。
・摂理の神が、今も生きて働いておられます。私たちにとって大切なことは、神のみこころに従って歩むことです。神はご自分に忠実な者を必ず摂理をもって導いて下さいます。
石田政美(横浜JOYバプテスト教会・派遣牧師)